そして世界は回る

 5月5日、ニューヨークの2大演劇賞、トニー賞とアウター・クリティクス・サークル賞の、それぞれノミネーションと授賞の発表があった。
 トニー賞は、独自の選考委員が選定する、よくも悪くもブロードウェイのアカデミーと言うべき賞。アウター・クリティクス・サークル賞は、新聞、雑誌などの演劇担当記者が選定する賞で、オフ・ブロードウェイも対象にしている。

 まず、トニーのミュージカル関係ノミネーションから書くが、対象となっているのは次の11作品(アルファベット順に英語表記のみでいきます)。

  1. 『ANNIE』
  2. 『CANDIDE』
  3. 『CHICAGO』
  4. 『DREAM』
  5. 『JEKYLL & HYDE』
  6. 『JUAN DARIE : A Carnival Mass』
  7. 『THE LIFE』
  8. 『ONCE UPON A MATTRESS』
  9. 『PLAY ON!』
  10. 『STEEL PIER』
  11. 『TITANIC』

 この内、最優秀作品賞候補は印、最優秀リヴァイヴァル候補は印(全部じゃん!)の各4本。
 以下――(カッコ内は上記作品番号)。

  • 最優秀主演男優賞
     Bob Cuccioli(5)、Jim Dale(2)、Daniel McDonald(10)、James Naughton(3)
  • 最優秀主演女優賞
     Pamela Isaacs(7)、Bebe Neuwirth(3)、Tonya Pinkins(9)、Karen Ziemba(10)
  • 最優秀助演男優賞
     Joel Blum(10)、Chuck Cooper(7)、Andre' De Shields(9)、Sam Harris(7)
  • 最優秀助演女優賞
     Marcia Lewis(3)、Andrea Martin(2)、Debra Monk(10)、Lillias White(7)
  • 最優秀演出賞
     Michael Blakemore(7)、Walter Bobbie(3)、Scott Ellis(10)、Julie Taymor(6)
  • 最優秀振付賞
     Wayne Cilent(4)、Joey McKneely(7)、Ann Reinking(3)、Susan Stroman(10)
  • 最優秀オリジナル楽曲賞
     music and lyrics Elliot Goldenthal(6)、music John Kander, lyrics Fred Ebb(10)、music Cy Coleman, lyrics Ira Gasman(7)、music and lyrics Maury Yeston(11)
  • 最優秀脚本賞
     Leslie Bricusse(5)、David Thompson(10)、David Newman, Ira Gasman, Cy Coleman(7)、Peter Stone(11)
  • 最優秀編曲賞
     Michael Gibson(10)、Luther Henderson(9)、Don Sebesky, Harold Wheeler(7)、Jonathan Tunick(11)
  • 最優秀装置デザイン賞
     Stewart Laing(11)、G.W.Mercier, Julie Taymor(6)、Tony Walton(10)、他にプレイ『THE LITTLE FOXES』のJohn Lee Beatty
  • 最優秀衣装デザイン賞
     Ann Curtis(5)、Judith Dolan(2)、William Ivey Long(3)、Martin Pakledinaz(7)
  • 最優秀照明デザイン賞
     Ken Billington(3)、Beverly Emmons(5)、Donald Holder(6)、Richard Pilbrow(7)

 感想は5月末に全てを観てから(と言っても『JUAN DARIE : A Carnival Mass』はクリスマス・シーズンの限定公演で、もう永遠に観られない)にしたいが、それはともかく、[MY BACK STAGES]のこの回を読んでくださった方は、お気づきになっただろうか。

 ボブ・カッシオリ Bob Cuccioli。

 最優秀男優賞候補になった彼こそ、あの時『アンド・ザ・ワールド・ゴーズ・ラウンド AND THE WORLD GOES 'ROUND』に出演していた5人の内、その後ブロードウェイに登場していなかった最後の1人なのだ。
 そして、同じ舞台を作った人々が今回、最優秀女優賞(カレン・ジエンバ)、最優秀助演男優賞(ジョエル・ブラム)、最優秀振付賞(スーザン・ストロマン)、最優秀オリジナル楽曲賞(ジョン・カンダー&フレッド・エブ)に顔をそろえている。

 ボブ・カッシオリで思い出すのは、彼の歌った「Kiss of the Spider Woman」。
 舞台終盤近くの熱唱で、歌い終わってワッと拍手が起こったのだが、その一瞬前の完全なる静寂の時を待っていたかのように劇場に響き渡ったのが当時8歳のわが息子の寝ぼけ声。
 疲れ果てて眠っている彼を無理やり連れていった私の大いなる過ちでした。
 アイム・ソー・ソーリー、ミスター・カッシオリ、そして劇場にいたみなさん、アンド・マイ・サン。

 そのカッシオリ、アウター・クリティクス・サークル賞では見事最優秀男優賞を獲得している。おめでとう!

 アウター・クリティクス・サークル賞の残る受賞者は(トニー賞候補者とダブらない場合のみ作品を書きます)――。

  • 最優秀ブロードウェイ作品賞
     『THE LIFE』
  • 最優秀オフ・ブロードウェイ作品賞
     『WHEN PIGS FLY』
  • 最優秀リヴァイヴァル作品賞
     『CHICAGO』
  • 最優秀演出賞
     Walter Bobbie
  • 最優秀女優賞
     Bebe Neuwirth
  • 最優秀助演男優賞
     Joel Grey(『CHICAGO』)
  • 最優秀助演女優賞
     Lillias White
  • 最優秀振付賞
     Ann Reinking
  • 最優秀装置デザイン賞
     Stewart Laing(プレイ『BUNNY BUNNY』のDavid Galloと同時受賞)
  • 最優秀衣装デザイン賞
     Howard Crabtree(『WHEN PIGS FLY』)
  • 最優秀照明デザイン賞
     Paul Gallo(『TITANIC』)、Peter Kaczorowski(『STEEL PIER』)の同時受賞

 それにしても愛しのカレン・ジエンバ。アウター・クリティクス・サークル賞でも最優秀女優賞の候補になっていたし、トニー賞も候補ってだけでお祝いだな。
 そして、『マイ・フェイヴァリット・イヤー MY FAVORITE YEAR』での見事なスラップスティック女優ぶりでシビレさせてくれたアンドレア・マーティン。

 大好きな2人をまた舞台で観られるなんて。
 ああ、心はすでにニューヨーク、だ!

(5/7/1997)

 Bob(Robert) Cuccioliの読みはボブ(ロバート)・クチオリが正解です。(6/9/1997)

Copyright ©1997 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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