『ラグタイム』の新劇場見学

 再開発の進む42丁目に、またひとつ新たな劇場がオープンした。名前は、フォード・センター FORD CENTER for The Performing Arts

 場所は7番街寄り北側。42丁目で先頭を切ってオープンしたニュー・ヴィクトリー劇場の隣、『ライオン・キング THE LION KING』上演中のニュー・アムステルダム劇場の向かい側だ。
 今月26日から話題作『ラグタイム RAGTIME』のプレヴューが予定されているが、それに先立ち、11、12、14の3日間、一般公開が行なわれた。

 閉鎖されていた古い2つの劇場――リリック劇場とアポロ劇場(!)――を合わせた形で改装したという、ブロードウェイでは比較的大型の劇場で、座席数は1813。外観からはわかりにくいが、中に入ると小振りのオペラハウスという印象だ。
 おそらくそれを意識してのことだろう、2階席も mezzanine と言わずに dress circle と呼んでいる。
 内装も、重厚とはいかないが美しく、階段ホールにはステンドグラスなども配されていて、従来のブロードウェイの劇場よりは明るめ。客席の天井からはシャンデリアが下がっている。

 見学当日は3階席からしか舞台を観ることができなかったが、印象はけっして遠くないし、見にくくもない。オーケストラ席も比較的死角が少ないんじゃないだろうか。
 舞台そのものは、こちらの伝統に沿った、幅狭で奥行きのあるサイズ。この日配られたパンフレットによれば、このメイン・ホールはアポロ劇場のものを生かして改装されたようだ。そのため、古風な趣も漂っている。
 舞台上には、写真のように(見えますか?)『ラグタイム』のセットが用意されていたが、案内係の人によれば、ホンモノのセットだがいくつかの場面を寄せ集めたものだ、とか。ともあれ、劇場と演目の雰囲気はピッタリだ。

 この日は42丁目側からの入場だったが、実は43丁目側にも玄関がある。実際に公演が始まった時に両方を開けるのかどうかは聞き忘れたが、チケットを売るボックス・オフィスは43丁目側にあるので、ご注意を。

 僕が観に行ったのは特別公開最終日の14日午後だったが、寒い中、劇場の外に長い列。その全員に、ドーナツとスターバックスのコーヒーが配られるのには感心した。帰りにはお土産もくれるし。
 中に入ったら入ったで、あらゆるところに案内係がいて、これがまた、みんな親切でにこやか。なんてことのない劇場見学さえ気分はエンタテインメントで、うーむ、この精神は一朝一夕には生まれないぞ、と思ってしまう。

 帰りがけに、出口付近で『シカゴ CHICAGO』のママ・モートン役マーシャ・ルイス Marcia Lewis に行き会って握手をしてもらったのも演出の一部のようで、すごく得した気分の無料劇場ツアーでした。

(12/22/1997)

Copyright ©1997 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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