17-18年トニー賞予想

 現地時間5月1日の朝に発表されたトニー賞ノミネーションに基いて、ミュージカル関連の受賞予想を発表します。
 過去 19シーズンの予想結果はこちら→97-98年98-99年99-00年00-01年01-02年02-03年03-04年04-05年05-06年06-07年07-08年08-09年09-10年10-11年11-12年12-13年13-14年14-15年15-16年16-17年

 各作品の感想は、次の候補作タイトル部分にリンクを貼ってありますので、読んでみてください。未リンク作品も追ってアップする予定です(ただし、プレイ2作品は観ていません)。

 毎度のお題目ですが、トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも観劇作品選びの基準にはならないことを心に留めておいてください。

 本命予想に、対抗予想にを付けました。例年通り、一覧のタイトル、人名は原語表記です。

 作品別候補数は次の通り。タイトル右の数字はノミネーション数。▲はリヴァイヴァル。[P]はストレート・プレイ。

 このシーズンに登場してノミネーションに名前の挙がらなかった作品は、『PRINCE OF BROADWAY』『ESCAPE TO MARGARITAVILLE』の2作品。


  • 作品賞
     『THE BAND'S VISIT』
     『FROZEN』
     『MEAN GIRLS』
     『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
  • リヴァイヴァル作品賞
     『MY FAIR LADY』
     『ONCE ON THIS ISLAND』
     『Rodgers & Hammerstein's CAROUSEL』
  • 主演女優賞
     Lauren Ambrose 『MY FAIR LADY』
     Hailey Kilgore 『ONCE ON THIS ISLAND』
     LaChanze 『SUMMER:The Donna Summer Musical』
     Katrina Lenk 『THE BAND'S VISIT』
     Taylor Louderman 『MEAN GIRLS』
     Jessie Meuller 『Rodgers & Hammerstein's CAROUSEL』
  • 主演男優賞
     Harry Hadden-Paton 『MY FAIR LADY』
     Joshua Henry 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
     Tony Shalhoub 『THE BAND'S VISIT』
     Ethan Slater 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
  • 助演女優賞
     Ariana DeBose 『SUMMER:The Donna Summer Musical』
     Renée Fleming 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
     Lindsay Mendez 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
     Ashley Park 『MEAN GIRLS』
     Diana Rigg 『MY FAIR LADY』
  • 助演男優賞
     Norbert Leo Butz 『MY FAIR LADY』
     Alexander Gemignan 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
     Grey Henson 『MEAN GIRLS』
     Gavin Lee 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
     Ari'el Stachel 『THE BAND'S VISIT』
  • 楽曲賞
     Adrian Sutton(Music) 『ANGELS IN AMERICA』
     David Yazbek(Music and Lyrics) 『THE BAND'S VISIT』
     Kristen Anderson-Lopez and Robert Lopez(Music and Lyrics) 『FROZEN』
     Jeff Richmond(Music) and Nell Benjamin(Lyrics) 『MEAN GIRLS』
     Yolanda Adams, Steven Tyler & Joe Perry of Aerosmith, Sara Bareilles, Jonathan Coulton, Alex Ebert of Edward Sharpe & The Magnetic Zeros, The Flaming Lips, Lady Antebellum, Cyndi Lauper & Rob Hyman, John Legend, Panic! at the Disco, Plain White T's, They Might Be Giants, T.I., and Domani & Lil'C(Music and/or Lyrics) 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
  • 脚本賞
     Itamar Moses 『THE BAND'S VISIT』
     Jennifer Lee 『FROZEN』
     Tina Fey 『MEAN GIRLS』
     Kyle Jarrow 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
  • 演出賞
     Michael Arden 『ONCE ON THIS ISLAND』
     David Cromer 『THE BAND'S VISIT』
     Tina Landau 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
     Casey Nicholaw 『MEAN GIRLS』
     Bartlett Sher 『MY FAIR LADY』
  • 振付賞
     Christopher Gattelli 『MY FAIR LADY』
     Christopher Gattelli 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
     Steven Hoggett 『HARRY POTTER AND CURSED CHILD, Parts One and Two』
     Casey Nicholaw 『MEAN GIRLS』
     Justin Peck 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
  • 編曲賞
     John Clancy 『MEAN GIRLS』
     Tom Kitt 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
     Annmarie Milazzo & Michael Starobin 『ONCE ON THIS ISLAND』
     Jamshied Sharifi 『THE BAND'S VISIT』
     Jonathan Tunick 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
  • 装置デザイン賞
     Dane Laffrey 『ONCE ON THIS ISLAND』
     Scott Pask 『THE BAND'S VISIT』
     Scott Pask, Finn Ross & Adam Young 『MEAN GIRLS』
     Michael Yeargan 『MY FAIR LADY』
     David Zinn 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
  • 衣装デザイン賞
     Gregg Barnes 『MEAN GIRLS』
     Clint Ramos 『ONCE ON THIS ISLAND』
     Ann Roth 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
     David Zinn 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
     Catherine Zuber 『MY FAIR LADY』
  • 照明デザイン賞
     Kevin Adams 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』
     Jules Fisher + Peggy Eisenhauer 『ONCE ON THIS ISLAND』
     Donald Holder 『MY FAIR LADY』
     Brian MacDevitt 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
     Tyler Micoleau 『THE BAND'S VISIT』
  • 音響デザイン賞
     Kai Harada 『THE BAND'S VISIT』
     Peter Hylenski 『ONCE ON THIS ISLAND』
     Scott Lehrer 『Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』
     Brian Ronan 『MEAN GIRLS』
     Walter Trarbach and Mike Dobson 『SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』

 まずは順当なノミネーション。去年の『アメリ AMELIE』のような悲しい出来事はなかった(苦笑)。あえて言えば、演出賞に『回転木馬 Rogers & Hammerstein's CAROUSEL』のジャック・オブライエン Jack O'Brien が入らなかったことぐらいか。
 予想に入る前に、とりあえず、今年の賞の枠組み的な部分の特徴を書いておく。
 驚いたのは、主演女優賞候補が6人だったこと。実際、内容的にも出演頻度的にも女優の活躍する作品が多く、選びたくなる気持ちはわかる(me too)。主演男優賞候補が4人になったのは、その帳尻合わせか。
 楽曲賞と振付賞にプレイが1作品ずつ入ったのも意外。どちらの賞も過去に例がなかったわけではないが……。
 あとは、音響デザイン賞の3年ぶりの復活。加えて、装置、衣装、照明、音響、各賞の候補が4から5に増えたこと。この辺の事情は、よくわからない。もっとも、どの事情もよくわからないのだが(笑)。

 作品賞は、『迷子の警察音楽隊 THE BAND'S VISIT』が本命、対抗が『スポンジ・ボブ SPONGEBOB SQUAREPANTS:The Musical』。対照的な2作の“渋ハデ対決”ってことで。
 今シーズンは、音楽的に見れば、この2作に『ミーン・ガールズ MEAN GIRLS』を加えた3本しか本当の意味で“新作”と呼べる作品がなかったわけで、ここに、『エスケイプ・トゥ・マルガリータヴィル ESCAPE TO MARGARITAVILLE』ではなく『アナと雪の女王 FROZEN』が加わっているのは、後者に2曲の舞台用書き下ろしがあったから、と考えられなくもない。
 いずれにしても、今シーズンの新作のイチ推しは『迷子の警察音楽隊』です。間違って買って行かれなくなった3月4日昼公演のチケットをプレゼントした見知らぬアナタ、楽しんでいただけたでしょうか?(冷汗)

 リヴァイヴァル作品賞は、本命『回転木馬』、対抗『マイ・フェア・レディ MY FAIR LADY』
 『回転木馬』1本に絞ってもいいのだが、当てたいので(笑)。この2作については、6月初旬に配信開始される無料音楽誌「ERIS」23号に、妄想と言ってもいい思い入れ満載の感想を書いたので、よろしければ読んでみてください(http://erismedia.jp/)。と言いつつ、それでは間が開きすぎるので、この連休中にサイトにも簡潔版感想を上げる予定。正直、今シーズンの印象を、このリヴァイヴァル2作が押し上げてます。

 主演女優賞は、去年(ベット・ミドラー Bette Midler)のように簡単にはいかない。てか、毎年難しい。と、まず言い訳して……、本命カトリーナ・レンク『迷子の警察音楽隊』)、対抗ローレン・アンブローズ『マイ・フェア・レディ』)で。
 『迷子の警察音楽隊』感想には役者のことは書かなかったが、当然、あの渋い内容を支えているのは、音楽と同時に役者の力なわけで。中でも、レンクの演じたカフェの女主人は舞台の成否を決する難役。一方、アンブローズは、歌うけど歌わない希有なミュージカル女優として、見事にイライザのイメージを覆し、『マイ・フェア・レディ』を現代に蘇らせた(「歌うけど歌わない」の意味は感想で詳述予定)。
 もちろん、他の4人(!)も素晴らしい。新人ヘイリー・キルゴアと並んで『ワンス・オン・ディス・アイランド ONCE ON THIS ISLAND』初演の主演女優ラシャンズの名前があるのもいい感じ。

 主演男優賞は、本命トニー・シャルーブ(『迷子の警察音楽隊』)、対抗イーサン・スレイター(『スポンジ・ボブ』)。
 実際、誰が獲ってもおかしくないところだが、これまで3度ストレート・プレイで候補になったシャルーブが、ほぼストレート・プレイ的な演技でミュージカルの賞を獲るのに期待。スレイターは八面六臂の献身的な活躍に敬意を表して。
 ちなみに、ハリー・ハデン=ペイトンもジョシュア・ヘンリーも、過去の同役のイメージを更新する挑戦的な演技で、見応え充分。

 助演女優賞は、今回最も(勝手に)悩むところ。すなわち、ルネ・フレミングは獲るのか? 結論は次の通り。
 本命リンゼイ・メンデズ(『回転木馬』)、対抗アシュリー・パーク(『ミーン・ガールズ MEAN GIRLS』)。
 フレミングは「You'll Never Walk Alone」の歌唱だけで充分受賞に値するのだが、同じ『回転木馬』の中にあって、メンデズの存在はやはり大きい。1994年に同じキャリー役を演じたオードラ・アン・マクドナルド Audra Ann McDonald(当時「アン」が入っていた)がこの賞を獲ったように、ある意味、儲け役ではあるのだが、それでも今回のメンデズは光っている。アシュリー・パークも、脇役がことごとく魅力的な舞台にあって、憎み切れない“悪役”を喜々として演じ、主演クラスを食う活躍。
 アリアナ・デボーズは、ラシャンズと共に『サマー~ドナ・サマー・ミュージカル~ SUMMER:The Donna Summer Musical』を引っ張るが、今回は作品が弱かった。ダイアナ・リグは1974年に『ピグマリオン PYGMALION』でイライザを、2011年に同作でミセス・ヒギンズを演じた人で、今回の『マイ・フェア・レディ』でのミセス・ヒギンズは、言ってみれば名誉職的な配役。もちろん見事だが受賞はないと見た。

 助演男優賞は、本命アリエル・スタチェル(『迷子の警察音楽隊』)、対抗ノーバート・レオ・バッツ(『マイ・フェア・レディ』)。
 スタチェルは個人的願望(笑)。女の子と見れば「チェット・ベイカーを知ってるか?」と訊いて「My Funny Valentine」を歌う楽隊のトランペット吹き役は、軟派なだけではない存在感で光る。レオ・バッツのアルフレッド・ドゥーリトルはショウ場面で文字通り舞台を攫う。
 ギャヴィン・リーも侮りがたい。て言うか、『スポンジ・ボブ』のタコ(日本では「イカルド」が通り名)のショウ場面はアルフレッド・ドゥーリトル並みの目立ちよう。『メリー・ポピンズ MARY POPPINS』のバート役で注目された人だけのことはある。
 他の2人は、作品中で女性陣に押され気味か。もちろん、そういう役なのだが。

 楽曲賞は、本命デイヴィッド・ヤズベク(『迷子の警察音楽隊』)、対抗は大勢のみなさん(笑)(『スポンジ・ボブ』)。
 『エンジェルズ・イン・アメリカ ANGELS IN AMERICA』に行ったらゴメンナサイ。

 脚本賞は、唯一映画が元ではない『スポンジ・ボブ』のカイル・ジャロウが本命。対抗は、あの映画をよくミュージカルにしたという意味で『迷子の警察音楽隊』のイタマー・モーゼズ。

 演出賞は、本命が渋いデイヴィッド・クローマー(『迷子の警察音楽隊』)、対抗が挑戦的なバートレット・シェール(『マイ・フェア・レディ』)。

 振付賞は、潔くジャスティン・ペック(『回転木馬』)1本で。素晴らしい。
 ハリポタはどうなんでしょ? 観なきゃダメ?

 編曲賞は、本命ジャムシード・シャリフィ(『迷子の警察音楽隊』)、対抗ジョナサン・トゥニック(『回転木馬』)。

 装置デザイン賞は、アイディア豊富な『スポンジ・ボブ』のデイヴィッド・ジンが本命、対抗はバートレット・シェールとの名コンビぶりが今回も美しいマイケル・イヤーガン(『マイ・フェア・レディ』)。

 衣装デザイン賞も本命は『スポンジ・ボブ』のデイヴィッド・ジン。装置と込みで受賞でいいのでは? 対抗は色彩鮮やかな『ワンス・オン・ディス・アイランド』のクリント・ラモス。

 照明デザイン賞は、本命ブライアン・マクデヴィット(『回転木馬』)、対抗タイラー・ミコロウ(『迷子の警察音楽隊』)。

 音響デザイン賞は、本命ウォルター・トラバック&マイク・ドブソン(『スポンジ・ボブ』)、対抗スコット・リーアー(『回転木馬』)。

 終盤流し気味でしたが(笑)、予想は以上。
 トニー賞の発表は現地時間の6月10日(日)夜の予定です。

(5/3/2018)


 トニー賞の結果はこちら

(6/11/2018)


Copyright ©2018 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

previous/next


[HOME]