16-17年トニー賞予想

 現地時間5月2日の朝に発表されたトニー賞ノミネーションに基いて、ミュージカル関連の受賞予想と僕の投票を発表します。
 過去 19シーズンの予想結果はこちら→97-98年98-99年99-00年00-01年01-02年02-03年03-04年04-05年05-06年06-07年07-08年08-09年09-10年10-11年11-12年12-13年13-14年14-15年15-16年

 このトニー賞受賞予想は、サイトの開設から間もない頃に僕の観劇記を読んでいただこうという策略で始めました。今回は全く間に合っていませんが(苦笑)、追ってアップしていきます。ざっくりした感想ですが、読んでみてください(アップしてあるものは下の候補作タイトル部分にリンクを貼ってあります)。

 毎度のお題目ですが、トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも観劇作品選びの基準にはならないことを心に留めておいてください。

 本命予想に、対抗予想にを付けました(※ここの表現、ちょっと変えました)。例年通り、一覧のタイトル、人名は原語表記です。

 作品別受賞数は次の通り。タイトル右の数字はノミネーション数(▲はリヴァイヴァル)。

 このシーズンに登場してノミネーションに名前の挙がらなかった作品は、プレヴュー開始順に、『CATS』『A BRONX TALE』『IN TRANSIT』『SUNSET BOULEVARD』『SUNDAY IN THE PARK WITH GEORGE』『AMELIE』『CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY』の7本。
 なお、今シーズンも音響デザイン賞はありません。


  • 作品賞
     『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     『DEAR EVAN HANSEN』
     『COME FROM AWAY』
     『GROUNDHOG DAY』
  • リヴァイヴァル作品賞
     『HELLO, DOLLY!』
     『FALSETTOS』
     『MISS SAIGON』
  • 主演女優賞
     Denée Benton 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     Christine Ebersole 『WAR PAINT』
     Patti LuPone 『WAR PAINT』
     Bette Midler 『HELLO, DOLLY!』
     Eva Noblezada 『MISS SAIGON』
  • 主演男優賞
     Christian Borle 『FALSETTOS』
     Josh Groban 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     David Hyde Pierce 『HELLO, DOLLY!』
     Andy Karl 『GROUNDHOG DAY』
     Ben Platt 『DEAR EVAN HANSEN』
  • 助演女優賞
     Kate Baldwin 『HELLO, DOLLY!』
     Rachel Bay Jones 『DEAR EVAN HANSEN』
     Stephanie J. Block 『FALSETTOS』
     Jenn Colella 『COME FROM AWAY』
     Mary Beth Peil 『ANASTASIA』
  • 助演男優賞
     Gavin Creel 『HELLO, DOLLY!』
     Mike Faist 『DEAR EVAN HANSEN』
     Andrew Rannells 『FALSETTOS』
     Lucas Steele 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     Brandon Uranowitz 『FALSETTOS』
  • 楽曲賞
     David Hein and Irene Sankoff(Music and Lyrics) 『COME FROM AWAY』
     Benj Pasek and Justin Paul(Music and Lyrics) 『DEAR EVAN HANSEN』
     Tim Minchin(Music and Lyrics) 『GROUNDHOG DAY』
     Dave Malloy(Music and Lyrics) 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
  • 脚本賞
     David Hein and Irene Sankoff 『COME FROM AWAY』
     Steven Levenson 『DEAR EVAN HANSEN』
     Danny Rubin 『GROUNDHOG DAY』
     Dave Malloy 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
  • 演出賞
     Christopher Ashley 『COME FROM AWAY』
     Rachel Chavkin 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     Michael Greif 『DEAR EVAN HANSEN』
     Matthew Warchus 『GROUNDHOG DAY』
     Jerry Zaks 『HELLO, DOLLY!』
  • 振付賞
     Andy Blankenbuehler 『BANDSTAND』
     Peter Darling and Ellen Kane 『GROUNDHOG DAY』
     Kelly Devine 『COME FROM AWAY』
     Denis Jones 『HOLIDAY INN』
     Sam Pinkleton 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
  • 編曲賞
     Bill Elliott and Greg Anthony Rassen 『BANDSTAND』
     Larry Hochman 『HELLO, DOLLY!』
     Alex Lacamoire 『DEAR EVAN HANSEN』
     Dave Malloy 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
  • 装置デザイン賞
     Rob Howell 『GROUNDHOG DAY』
     David Korins 『WAR PAINT』
     Mimi Lien 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     Santo Loquasto 『HELLO, DOLLY!』
  • 衣装デザイン賞
     Linda Cho 『ANASTASIA』
     Santo Loquasto 『HELLO, DOLLY!』
     Paloma Young 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     Catherine Zuber 『WAR PAINT』
  • 照明デザイン賞
     Howell Binkley, 『COME FROM AWAY』
     Natasha Katz 『HELLO, DOLLY!』
     Bradley King 『NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』
     Japhy Weideman 『DEAR EVAN HANSEN』

 いやあ、『アメリ AMELIE』が全く候補に挙がらなかったのはショックだった。しかも、作品賞候補数が去年の5から4に減ってるし。『アメリ』外しの陰謀か、と疑いたくなる(笑)。
 ま、この手のことを言い出すときりがないので先に進もう。
 とにかく今年のトニー賞は、新作に関しては『ディア・エヴァン・ハンセン DEAR EVAN HANSEN』『ナターシャ、ピエールと1812年の巨大彗星(グレイト・コメット) NATASHA, PIERRE & THE GREAT COMET OF 1812』の2強対決と見ていて、しかも、『ディア・エヴァン・ハンセン』の勝ちだろう、というのが基本線。役者以外の部門でこの2作が候補になっているところは、全て、前者を本命、後者を対抗にした。もちろんリヴァイヴァルは『ハロー、ドリー! HELLO, DOLLY!』の1本被り。ケーバ的に言えば、そんな感じ。
 『アメリ』が消えたので、予想に迷いはなくなった、……と開き直って……。

 作品賞は、『ディア・エヴァン・ハンセン』が本命、対抗が『グレイト・コメット』
 結局、この2作に『グラウンドホッグ・デイ GROUNDHOG DAY』『カム・フロム・アウェイ COME FROM AWAY』を加えた、作品賞候補の4作が、楽曲賞、脚本賞、演出賞という主要部門を独占(候補数が1つ多い演出賞には『ハロー、ドリー!』も加わるが)。筋が通ってるっちゃあ通ってるが……。
 『グラウンドホッグ・デイ』の高評価は、ウェスト・エンド版がオリヴィエ賞を獲っているが故か。ちょっと盛り過ぎな気がする。そう言えば、『ディア・エヴァン・ハンセン』『グレイト・コメット』もオフ上演時にオビー賞を獲っている。ま、この2作は当然の高評価だが。小規模ながら、そこに割って入った『カム・フロム・アウェイ COME FROM AWAY』の健闘は称えたい。
 でも、どう考えても、ここに『アメリ』が……(ブツブツ)。

 リヴァイヴァル作品賞『ハロー、ドリー!』。新しさは全くないが古臭くもない。今に生きるドリーをベット・ミドラーが見せてくれる。素敵。
 『ファルセトーズ FALSETTOS』は質は高かったが、ホリデイ・シーズン向けの期間限定。『ミス・サイゴン MISS SAIGON』はきっちり作ってあるが、個人的に、今リヴァイヴァルさせる意味があるのか疑問なので。

 主演女優賞は、もちろんベット・ミドラー(『ハロー、ドリー!』)。見事な現役スターぶり。
 ミドラーがいなければ、『ウォー・ペイント WAR PAINT』の2人の対決が盛り上がったはず。実際、舞台での2人の演技合戦は面白い。デネエ・ベントン(『グレイト・コメット』)の初心ぶりも光った。イヴァ・ノーブルザーダ(『ミス・サイゴン』)もケチをつけるところはないが、前述したように作品そのものの価値を認めていないので。
 でも、どう考えても、ここにフィリッパ・スー(『アメリ』)が……(笑)。

 主演男優賞はベン・プラット(『ディア・エヴァン・ハンセン』)で。素晴らしい。
 対抗は、『ロッキー ROCKY』で苦労が報われなかったアンディ・カール(『グラウンドホッグ・デイ』)。
 今や個性派として名優の域に近づきつつあるクリスチャン・ボールは、続演中の『チャーリーとチョコレート工場 CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY』ではなく、すでに限定公演を終えた『ファルセトーズ』でのノミネーションてのが皮肉な感じ。デイヴィッド・ハイド・ピアース(『ハロー、ドリー!』)は、ミドラーを支えて今回も好演だが、『ハロー、ドリー!』はリヴァイヴァル作品賞と主演女優賞の2つで収まるのではないかという予感がする。ジョシュ・グローバン(『グレイト・コメット』)は観た回を休演していたし、オフでも別の役者だったので未見。

 助演女優賞は難しい。が、ここは、エヴァン・ハンセンの母を演じたレイチェル・ベイ・ジョーンズ(『ディア・エヴァン・ハンセン』)を推す。難役。
 『カム・フロム・アウェイ』のジェン・コレーラは、この群像劇の中心として事実上の主演になっていた。というわけで彼女が対抗。
 他の3人も主役級の役をこなす人たちで、実際のところ、ここでは誰が獲ってもおかしくない。

 助演男優賞も難しいが、アクの強い演技が印象的なルーカス・スティール(『グレイト・コメット』)が一歩リードか。
 対抗は、出番は比較的少ないが、ドラマの中で重要な役割を担うマイク・ファイスト(『ディア・エヴァン・ハンセン』)の不思議な存在感に1票。
 『ファルセトーズ』は少人数の群像劇で、リヴァイヴァルともなると演技合戦の様相を呈するのは必然。なので、2人が候補に挙がるのも不思議ないし、それに相応しい出来だが、逆に、ここは見送りたい。ギャヴィン・クリール(『ハロー、ドリー!』)は、先の理由(予感)でパス。

 楽曲賞以下の3賞には、前述したように作品賞候補4作がそのまま並ぶ。
 もちろん、本命がベンジ・パセック&ジャスティン・ポール(『ディア・エヴァン・ハンセン』)で、対抗がデイヴ・マロイ(『グレイト・コメット』)。彼ら新世代の活躍は今後も楽しみ。
 残り2作も悪くないが……どう考えても、ここに……(笑)。

 脚本賞
 ここも、本命『ディア・エヴァン・ハンセン』、対抗『グレイト・コメット』で。
 『カム・フロム・アウェイ』も、あの題材をよくここまで仕上げた、という意味で評価したいが、面白さの度合いが上記2作の方が上。『グラウンドホッグ・デイ』は、元の映画と比較すると評価が下がる。

 演出賞
 ここも、本命『ディア・エヴァン・ハンセン』、対抗『グレイト・コメット』にするが、『カム・フロム・アウェイ』『グラウンドホッグ・デイ』は、よくまとめた感が強い2作なので、演出は評価されていい。
 『ハロー、ドリー!』は、スターを扱わせて右に出る者がいない(らしい)ジェリー・ザックスに対する“功労賞”か。いや、お見事。もしかして、獲る?

 振付賞は、ここでようやく名前の出た2作を推してみた。
 アンディ・ブランケンビューラー(『バンドスタンド BANDSTAND』)とデニス・ジョーンズ(『ホリデイ・イン HOLIDAY INN』)。どちらも設定された時代が第二次大戦直後で、やや時代がかっているが、ダンスらしいダンスと言えば、この2作。

 編曲賞は、最初に掲げた方針通り、新作2作の本命・対抗で。

 装置デザイン賞は、より手間がかかっているように見えた2作、『グレイト・コメット』『グラウンドホッグ・デイ』で。
 『グラウンドホッグ・デイ』は、とにかく装置が忙しい。大変そうだなあ、と気になるぐらい。

 衣装デザイン賞は、とにかく凝っている『グレイト・コメット』に加えて、スタイリッシュな『ウォー・ペイント』に1票。

 照明デザイン賞も、方針通り新作2作の本命・対抗。

 予想は以上。
 トニー賞の発表は現地時間の6月11日(日)夜の予定です。

(5/7/2017)


 予想の結果はこちら


Copyright ©2017 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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