13-14年トニー賞予想

 現地時間4月29日の朝に発表されたトニー賞ノミネーションに基いて、ミュージカル関連の受賞予想と僕の投票を発表します。
 過去 16シーズンの予想結果はこちら→97-98年98-99年99-00年00-01年01-02年02-03年03-04年04-05年05-06年06-07年07-08年08-09年09-10年10-11年11-12年12-13年

 このトニー賞受賞予想は、もともとは僕の観劇記を読んでいただこうという策略で始めました。このところ個別の観劇記はめったにアップされませんが、ざっくりした感想はニューヨーク観劇リストに書くようにしていますので読んでみてください。下の候補作タイトル部分にリンクを貼ってあります。未アップの分が多々ありますが、追って近々。

 さて、毎度のお題目ですが、トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも観劇作品選びの基準にはならないことを心に留めておいてください。

 審査員の投票予想に、僕の投票にを付けました。例年通り、タイトル、人名は原語表記です。

 作品別ノミネーション数は次の通り(▲はリヴァイヴァル)。

 このシーズンに登場してノミネーションに名前の挙がらなかった作品は、『ビッグ・フィッシュ BIG FISH』のみ。
 なお、『エマーソンズ・バー・アンド・グリルのレイディ・デイ LADY DAY AT EMERSON'S BAR AND GRILL』はプレイのカテゴリーに入って、主演女優賞(Audra McDonald)と音響デザイン賞(Steve Canyon Kennedy)の候補になっています。


  • 作品賞
     『AFTER MIDNIGHT』
     『ALADDIN』
     『BEAUTIFUL:The Carole King Musical』
     『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
  • リヴァイヴァル作品賞
     『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     『LES MISERABLES』
     『VIOLET』
  • 主演女優賞
     Mary Bridget Davies 『A NIGHT WITH JANIS JOPLIN』
     Sutton Foster 『VIOLET』
     Idina Menzel 『IF/THEN』
     Jessie Mueller 『BEAUTIFUL:The Carole King Musical』
     Kelli O'Hara 『THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』
  • 主演男優賞
     Neil Patrick Harris 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     Ramin Karimloo 『LES MISERABLES』
     Andy Karl 『ROCKY』
     Jefferson Mays 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
     Bryce Pinkham 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
  • 助演女優賞
     Linda Emond 『CABARET』
     Lena Hall 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     Anika Larsen 『BEAUTIFUL:The Carole King Musical』
     Adriane Lenox 『AFTER MIDNIGHT』
     Lauren Worsham 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
  • 助演男優賞
     Danny Burstein 『CABARET』
     Nick Cordero 『BULLETS OVER BROADWAY』
     Joshua Henry 『VIOLET』
     James Monroe Iglehart 『ALADDIN』
     Jarrod Spector 『BEAUTIFUL:The Carole King Musical』
  • 楽曲賞
     Alan Menken(Music), Howard Ashman, Tim Rice and Chad Begeulin(Lyrics) 『ALADDIN』
     Jason Robert Brown(Music and Lyrics) 『THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』
     Steven Lutvak(Music), Robert L. Freedman & Steven Lutvak(Lyrics) 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
     Tom Kitt(Music), Brian Yorkey (Lyrics) 『IF/THEN』
  • 脚本賞
     Chad Beguelin 『ALADDIN』
     Douglas McGrath 『BEAUTIFUL:The Carole King Musical』
     Woody Allen 『BULLETS OVER BROADWAY』
     Robert L. Freedman 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
  • 演出賞
     Warren Carlyle 『AFTER MIDNIGHT』
     Michael Mayer 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     Leigh Silverman 『VIOLET』
     Darko Tresnjak 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
  • 振付賞
     Warren Carlyle 『AFTER MIDNIGHT』
     Steven Hoggett & Kelly Devine 『ROCKY』
     Casey Nicholaw 『ALADDIN』
     Susan Stroman 『BULLETS OVER BROADWAY』
  • 編曲賞
     Doug Besterman 『BULLETS OVER BROADWAY』
     Jason Robert Brown 『THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』
     Steve Sidwell 『BEAUTIFUL:The Carole King Musical』
     Jonathan Tunick 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
  • 装置デザイン賞
     Christopher Barreca 『ROCKY』
     Julian Crouch 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     Alexander Dodge 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
     Santo Loquasto 『BULLETS OVER BROADWAY』
  • 衣装デザイン賞
     Linda Cho 『A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
     William Ivey Long 『BULLETS OVER BROADWAY』
     Arianne Phillips 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     Isabel Toledo 『AFTER MIDNIGHT』
  • 照明デザイン賞
     Kevin Adams 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     Christopher Akerlind 『ROCKY』
     Howell Binkley 『AFTER MIDNIGHT』
     Donald Holder 『THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』
  • 音響デザイン賞
     Peter Hylenski 『AFTER MIDNIGHT』
     Tim O'Heir 『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』
     Mick Potter 『LES MISERABLES』
     Brian Ronan 『BEAUTIFUL:The Carole King Musical』

 今年のトニー賞のノミネーションは、作品賞、リヴァイヴァル作品賞の候補が、かなり意外。でもって、恐れていた『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ HEDWIG AND THE ANGRY INCH』(3月のプレヴュー初日を観る機会があったものの、高額チケットしか売っていなかったのでトニー賞前の観劇を見送った)の多部門でのノミネーションが現実となって、この予想の大荒れは必定です(笑)。
 作品賞候補から、出来そのものに首を捻らざるをえない『ロッキー ROCKY』はともかく、『ブロードウェイと銃弾 BULLETS OVER BROADWAY』『マディゾン郡の橋 THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』『もし/あの時 IF/THEN』の3作が外れたのが、まず意外。『アフター・ミッドナイト AFTER MIDNIGHT』の代わりに、どれか入ってもよかったのでは? 特に、後の2作は意欲作なだけに、残念。
 リヴァイヴァル作品賞は、オンへの登場が初めてであるにもかかわらず、オフでの上演が過去にあった『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』『ヴァイオレット VIOLET』が、こちらに回されたことが意外。『キャバレー CABARET』が候補にならなかったのは、全く同じ演出だからだと納得出来るが。
 ……と、いささか困惑しながら、各賞の検討に入りますが、『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』絡みは、度外視するか、(オフの記憶を元に)憶測で判断するか迷うところ。ことに、装置デザイン以下の4賞は、観ていないと想像もつかないし(笑)。で、迷った末に、その4賞に関しては全て『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』に印を打って、当てに行くことにしました(笑)。ご容赦を。

 作品賞は、この4作なら、『紳士の愛と殺人ガイド A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』『ビューティフル BEAUTIFUL:The Carole King Musical』の一騎打ちだろう。
 『アフター・ミッドナイト』は、フロア・ショウとして充実してはいるが、短いし、作品賞の器じゃない。『アラジン ALADDIN』も、よく出来てはいるが、『美女と野獣 BEAUTY AND THE BEAST』レヴェル。すなわち、既存のディズニー・ミュージカルの枠を出てはいない。

 リヴァイヴァル作品賞は、わざわざこちら部門に回った『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』が獲るのでは? 『ヴァイオレット』は力作だが、オンにあっては地味だろう。
 『レ・ミセラブル』が獲るようだと、ちょっと人生を考え直す(笑)。

 主演女優賞は、今年は激戦。サットン・フォスター(『ヴァイオレット』)、イディナ・メンゼル(『もし/あの時』)、ケリ・オハラ(『マディゾン郡の橋』)の常連組(前2人は過去受賞者)が同じシーズンに顔を揃え、いずれも難役を個性的に演じて素晴らしい。ことに、ケリ・オハラは必見(ついに獲るか?)。
 が、個人的には、キャロル・キング役で奮闘するジェシー・ミューラー(『ビューティフル』)も応援したい。

 主演男優賞は、『紳士の愛と殺人ガイド』の2人、ジェファーソン・メイズ(1人8役!)とブライス・ピンカムを推すが、強敵は、TV、映画で知られ、トニー賞の司会を何度もやったニール・パトリック・ハリス。『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』は、ほとんど主役のモノローグで成り立っているだけに、候補になったら獲る確率は高い。
 ラミン・カリムルーは、ロンドンの『オペラ座の怪人 THE PHANTOM OF THE OPERA』や旧『レ・ミセラブル』、失敗作『ラヴ・ネヴァ・ダイズ LOVE NEVER DIES』の出演者としてファンも多いらしいが、つまりは、そういうタイプの役者。なので、今回の『レ・ミセラブル』の出来では、受賞は厳しいだろう。『ロッキー』のアンディ・カールも、熱演ながら、今回のスタローンもどき演技では評価を下げざるをえない。

 助演女優賞は、『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』のレナ・ホールが推測不能なので度外視させていただいて、リンダ・エモンド(『キャバレー』のシュナイダー夫人役)とローレン・ウォーシャム(『紳士の愛と殺人ガイド』の主人公の婚約者役)の対決と見る。2人とも実にうまい。
 『ビューティフル』のシンシア・ワイル役アニカ・ラーセンや、『アフター・ミッドナイト』を支え続けるエイドリアン・レノックスも応援したいが、まずは候補まで、だろう。

 助演男優賞は、渋いダニー・バーステイン(『キャバレー』のシュルツ役)か、派手なジェイムズ・モンロー・アイグルハート(『アラジン』のジニー役)に行くのではないか。と言いつつ、個人的には『ヴァイオレット』のジョシュア・ヘンリーに1票。
 残る2人も、もちろん悪くはなかった。

 楽曲賞は、ジェイソン・ロバート・ブラウン(『マディソン郡の橋』)1本に絞りたいぐらいだが、それでは当たらないので(笑)、『紳士の愛と殺人ガイド』にも印を打つ。
 実際、映画版の再利用である『アラジン』以外なら許す。が、『マディソン郡の橋』は素晴らしい。

 脚本賞は、ウディ・アレンの扱いをどうするのかに注目だが、『ブロードウェイと銃弾』は、映画版と比べても、ほどほどの出来だろう。ここは、残る3作の内、『アラジン』以外の2作の勝負と見る。
 それとも、敬意を表してウディ・アレンに行くのか? てか、『マディソン郡の橋』『もし/あの時』が、ここでも評価されないのは、なぜ?

 演出賞は、『アフター・ミッドナイト』以外の3作から決まるのは間違いない。『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』は未見だが、マイケル・メイヤーは『春のめざめ SPRING AWAIKING』でトニーの演出賞を獲った人だからなあ。とんがっているという点では共通した今回も、可能性はある。
 個人的には、リー・シルヴァーマン(『ヴァイオレット』)のゴツゴツした演出がテーマに相まって印象に残ったが、トニー賞というテイストではないかも。むしろ、ダルコ・トルズニヤック(『紳士の愛と殺人ガイド』)のシャレのめした味の方が受けるか。

 振付賞は、ウォーレン・カーライル(『アフター・ミッドナイト』)とスーザン・ストロマン(『ブロードウェイと銃弾』)のオーソドックス対決とした。
 『アラジン』は、楽しいが、やや子供向け。『ロッキー』は、意余って力足らず、の印象。

 編曲賞も、楽曲賞の流れでジェイソン・ロバート・ブラウン(『マディソン郡の橋』)に。何度も言うが、素晴らしい。
 あるいは、ブリル・ビルディングの名曲群を新鮮に聴かせた『ビューティフル』に。

 ※ここから後の4賞は、先に書いた理由で、全て『ヘドウィグ・アンド・ジ・アングリー・インチ』にも印を打ってあります。

 装置デザイン賞は、実は、意欲から言えば『ロッキー』なのだが、残念ながら、うまく行っていない。とりあえず、アイディア豊富な『紳士の愛と殺人ガイド』で。

 衣装デザイン賞は、どれが獲っても不思議はない。

 照明デザイン賞は、繊細さが際立った『マディソン郡の橋』で。

 音響デザイン賞は、編曲賞と同じ理由(ブリル・ビルディングの名曲群を新鮮に聴かせた)で『ビューティフル』に。

 トニー賞の発表は現地時間の 6月 8日(日)夜の予定です。

(4/30/2014)


 トニー賞の結果はこちら


Copyright ©2014 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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