12-13年トニー賞予想

 現地時間4月30日の朝に発表されたトニー賞ノミネーションに基いて、ミュージカル関連の受賞予想と僕の投票を発表します。
 過去 15シーズンの予想結果はこちら→97-98年98-99年99-00年00-01年01-02年02-03年03-04年04-05年05-06年06-07年07-08年08-09年09-10年10-11年11-12年

 このトニー賞受賞予想は、もともとは僕の観劇記を読んでいただこうという策略で始めました。このところ個別の観劇記はめったにアップされませんが、ざっくりした感想はニューヨーク観劇リストに書くようにしていますので読んでみてください。下の候補作タイトル部分にリンクを貼ってあります。未アップの分が多々ありますが、該当作分についてだけでも、追って近々。

 さて、毎度のお題目ですが、トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも観劇作品選びの基準にはならないことを心に留めておいてください。

 審査員の投票予想に、僕の投票にを付けました。例年通り、タイトル、人名は原語表記です。

 作品別ノミネーション数は次の通り(▲はリヴァイヴァル)。

 このシーズンに登場してノミネーションに名前の挙がらなかった作品は、『ジキル&ハイド JEKYLL & HYDE』▲のみ。


  • 作品賞
     『BRING IT ON The Musical』
     『A CHRISTMAS STORY The Musical』
     『KINKY BOOTS』
     『MATILDA The Musical』
  • リヴァイヴァル作品賞
     『ANNIE』
     『THE MYSTERY OF EDWIN DROOD』
     『PIPPIN』
     『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
  • 主演女優賞
     Stephanie J. Block 『THE MYSTERY OF EDWIN DROOD』
     Carolee Carmello 『SCANDALOUS』
     Valisia LeKae 『MOTOWN The Musical』
     Patina Miller 『PIPPIN』
     Laura Osnes 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
  • 主演男優賞
     Bertie Carvel 『MATILDA The Musical』
     Santino Fontana 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
     Rob McClure 『CHAPLIN』
     Billy Porter 『KINKY BOOTS』
     Stark Sands 『KINKY BOOTS』
  • 助演女優賞
     Annaleigh Ashford 『KINKY BOOTS』
     Victoria Clark 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
     Andrea Martin 『PIPPIN』
     Keala Settle 『HANDS ON A HARDBODY』
     Lauren Ward 『MATILDA The Musical』
  • 助演男優賞
     Charl Brown 『MOTOWN The Musical』
     Keith Carradine 『HANDS ON A HARDBODY』
     Will Chase 『THE MYSTERY OF EDWIN DROOD』
     Gabriel Ebert 『MATILDA The Musical』
     Terrence Mann 『PIPPIN』
  • 演出賞
     Scott Ellis 『THE MYSTERY OF EDWIN DROOD』
     Jerry Mitchell 『KINKY BOOTS』
     Diane Paulus 『PIPPIN』
     Matthew Warchus 『MATILDA The Musical』
  • 振付賞
     Andy Blankenbuehler 『BRING IT ON The Musical』
     Peter Darling 『MATILDA The Musical』
     Jerry Mitchell 『KINKY BOOTS』
     Chet Walker 『PIPPIN』
  • 楽曲賞
     Benj Pasek and Justin Paul(Music and Lyrics) 『A CHRISTMAS STORY The Musical』
     Trey Anastasio and Amanda Green(Music), Amanda Green(Lyrics) 『HANDS ON A HARDBODY』
     Cyndi Lauper(Music & Lyrics) 『KINKY BOOTS』
     Tim Minchin(Music & Lyrics) 『MATILDA The Musical』
  • 脚本賞
     Joseph Robinette 『A CHRISTMAS STORY The Musical』
     Harvey Fierstein 『KINKY BOOTS』
     Dennis Kelly 『MATILDA The Musical』
     Douglas Carter Beane 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
  • 編曲賞
     Chris Nightingale 『MATILDA The Musical』
     Stephen Oremus 『KINKY BOOTS』
     Ethan Popp and Bryan Crook 『MOTOWN The Musical』
     Danny Troob 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
  • 装置デザイン賞
     Rob Howell 『MATILDA The Musical』
     Anna Louizos 『THE MYSTERY OF EDWIN DROOD』
     Scott Pask 『PIPPIN』
     David Rockwell 『KINKY BOOTS』
  • 衣装デザイン賞
     Gregg Barnes 『KINKY BOOTS』
     Rob Howell 『MATILDA The Musical』
     Dominique Lemieux 『PIPPIN』
     William Ivey Long 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
  • 照明デザイン賞
     Kenneth Posner 『KINKY BOOTS』
     Kenneth Posner 『PIPPIN』
     Kenneth Posner 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』
     Hugh Vanstone 『MATILDA The Musical』
  • 音響デザイン賞
     Jonathan Deans and Garth Helm 『PIPPIN』
     Peter Hylenski 『MOTOWN The Musical』
     John Shivers 『KINKY BOOTS』
     Nevin Steinberg 『Rodgers + Hammerstein's CINDERELLA』

 今年のトニー賞のノミネーションは、比較的、順当な印象。『キンキー・ブーツ』が最良の出来、という個人的見解とも相違がない。『ブリング・イット・オン』『クリスマス・ストーリー』『エドウィン・ドルードの謎』が、期間限定公演ながら作品として評価されているのも納得がいく。昨年と違い、楽曲賞候補もミュージカルだけで収まったし。
 飛び抜けた作品はないが、総じて、悪いシーズンではなかったと言っていいのだろう。

 作品賞は、『キンキー・ブーツ』で決まりとしたい。
 紛れがあるとすれば、ロンドンから来た『マチルダ』か。なにしろ、投票者がイギリスものに弱いから。個人的には、期間限定公演で、すでに終わっている『ブリング・イット・オン』『クリスマス・ストーリー』の方が『マチルダ』より上。

 リヴァイヴァル作品賞は、豪華な面子を揃えて楽しかった『エドウィン・ドルードの謎』が期間限定公演で閉幕済みなので、まず獲らない。残る3作から脱落するのは、間違いなく『アニー』
 残る2作の一騎打ちとなると、全く装いを新たにして文字通りリヴァイヴァルさせた『シンデレラ』。第1幕だけなら、『ピピン』でもおかしくないが。

 主演女優賞は、ナレーションからアクロバティックなパフォーマンスまで縦横無尽の活躍を見せるパティーナ・ミラー(『ピピン』)だろう。2年連続の候補となったローラ・オズネス(『シンデレラ』)の可能性もないではないが。
 個人的には、難しい題材の作品で孤軍奮闘したキャロリー・カーメロ(『スキャンダラス』)に1票。

 主演男優賞は、『キンキー・ブーツ』のビリー・ポーター。ライヴァルは同作のスターク・サンズだが、ポーターで、まず間違いないだろう。
 ここも万一紛れがあるとすれば、作品賞と同じ理由で、『マチルダ』の校長に扮し、とびきりの怪演を見せるバーティ・カーヴェル。もっとも、女優と言った方がいい気もする役だが。

 助演女優賞は、いつもながらの激戦だが、作品の勢いもあるし、『キンキー・ブーツ』のアナリー・アシュフォードが本命。対抗は、すでに受賞経験もあり、ブロードウェイに登場すれば必ずと言っていいほど候補に挙がるアンドレア・マーティン(『ピピン』)。今回もノリノリのコメディエンヌぶりを見せて、大いに湧かせる。
 もちろん、他の3人も、獲って不思議はない。

 助演男優賞も曲者が揃った。とりあえず、『マチルダ』の父親役で、主演男優賞候補バーティ・カーヴェルに負けず劣らずの怪演を見せるガブリエル・エバートを本命とするが、『ハンズ・オン・ア・ハードボディ』で落ちぶれた男の哀愁を渋く見せたキース・キャラダインも捨てがたい。さらに、頻繁にブロードウェイに登場しながら初めて候補になったウィル・チェイス(『エドウィン・ドルードの謎』)や、こちらは候補常連のテレンス・マン(『ピピン』)も光っていた。
 チャール・ブラウンは『モータウン』のスモーキー・ロビンソン役で、そっくり具合も含め、舞台の要となっていたが、受賞はどうか。

 演出賞は、作品賞同様、『キンキー・ブーツ』としたいが、凝った趣向という意味では他の3作の方が目立つ。が、まあ、ここは正攻法で。
 『マチルダ』が獲るとすれば、ここかも。

 振付賞『キンキー・ブーツ』に行っても問題ないのだが、ここは、より派手な『ピピン』、あるいは『ブリング・イット・オン』で。
 ただし、前者はボブ・フォッシー振付の再現的要素がどう評価されるか、後者はチアリーディングのアクションが舞台の振付として評価されるか、という課題もありそう。僕は評価しますが。

 楽曲賞『キンキー・ブーツ』のシンディ・ローパー。
 残念ながら短命に終わったが、『ハンズ・オン・ア・ハードボディ』の楽曲もよかった。残る2作も、もちろん悪くない。

 脚本賞『キンキー・ブーツ』だろう。
 細かいところにまで気が配られていた『クリスマス・ストーリー』の脚本も非常に優れていた。なので、個人的に1票入れるが、投票者たちは、大胆な改変を評価して『シンデレラ』に入れるかも。

 編曲賞は、『キンキー・ブーツ』『シンデレラ』

 装置デザイン賞『キンキー・ブーツ』に行く気がする。でないとすれば、トリッキーな 2作、『マチルダ』『ピピン』のどちらかだろう。……ここまでの文章は、昨年と同じ(笑)。
 一応、驚きの多い『ピピン』を第一候補としておく。

 衣装デザイン賞が今年は難しい。ここは『キンキー・ブーツ』が獲らないかもしれない。
 第1候補を、早替りの趣向で『シンデレラ』にしておくが、デフォルメのされ方が面白い『マチルダ』、サーカス風味でアイディアのある『ピピン』の可能性も充分にある。

 照明デザイン賞衣装デザイン賞と同じ作品が並んだ。ここも『キンキー・ブーツ』は外しておこう。
 『シンデレラ』『ピピン』で。

 音響デザイン賞は、勢いで『キンキー・ブーツ』。対抗は『マチルダ』

 トニー賞の発表は現地時間の 6月 9日(日)夜の予定です。

(5/1/2013)


 トニー賞の結果はこちら


Copyright ©2013 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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