11-12年トニー賞予想

 現地時間 5月 1日の朝に発表されたトニー賞ノミネーションに基いて、ミュージカル関連の受賞予想と僕の投票を発表します。
 過去 14シーズンの予想結果はこちら→97-98年98-99年99-00年00-01年01-02年02-03年03-04年04-05年05-06年06-07年07-08年08-09年09-10年10-11年

 このトニー賞受賞予想は、もともとは僕の観劇記を読んでいただこうという策略で始めました。このところ個別の観劇記はめったにアップされませんが、ざっくりした感想はニューヨーク観劇リスト(今回の該当箇所は、ここここここここ)に書くようにしていますので読んでみてください(直近の分が未アップですが)。
 ※(5/29/2012追記)直近分もこちらにアップしました。
 ※(7/3/2012追記)その後の分もこちらにアップしました。

 さて、毎度のお題目ですが、トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも観劇作品選びの基準にはならないことを心に留めておいてください。

 審査員の投票予想に、僕の投票にを付けました。例年通り、タイトル、人名は原語表記です。

 作品別ノミネーション数は次の通り(▲はリヴァイヴァル、の観劇記は未アップ)。
 ※(6/3/2012追記)[P]の付いた 2作はプレイですが、楽曲賞候補に入ったので挙げておきます。これらの作品のノミネーション数 (1) は、その楽曲賞候補のみを採り上げたもので、実際にはプレイの作品賞その他で多数候補になっています。

 このシーズンに登場してノミネーションに名前の挙がらなかった作品は、『ゴッドスペル GODSPELL』▲のみ。
 なお、『虹の終わりに END OF THE RAINBOW』は(当然のことながら)プレイとして扱われました。


  • 作品賞
     『LEAP OF FAITH』
     『NEWSIES』
     『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
     『ONCE』
  • リヴァイヴァル作品賞
     『EVITA』
     『FOLLIES』
     『PORGY AND BESS』
     『JESUS CHRIST SUPERSTAR』
  • 主演女優賞
     Jan Maxwell 『FOLLIES』
     Audra McDonald 『PORGY AND BESS』
     Cristin Milioti 『ONCE』
     Kelli O’Hara 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
     Laura Osnes 『BONNIE & CLYDE』
  • 主演男優賞
     Danny Burstein 『FOLLIES』
     Jeremy Jordan 『NEWSIES』
     Steve Kazee 『ONCE』
     Norm Lewis 『PORGY AND BESS』
     Ron Raines 『FOLLIES』
  • 助演女優賞
     Elizabeth A. Davis 『ONCE』
     Jayne Houdyshell 『FOLLIES』
     Judy Kaye 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
     Jessie Mueller 『ON A CLEAR DAY YOU CAN SEE FOREVER』
     Da'Vine Joy Randolph 『GHOST:The Musical』
  • 助演男優賞
     Phillip Boykin 『PORGY AND BESS』
     Michael Cerveris 『EVITA』
     David Alan Grier 『PORGY AND BESS』
     Michael McGrath 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
     Josh Young 『JESUS CHRIST SUPERSTAR』
  • 演出賞
     Jeff Calhoun 『NEWSIES』
     Kathleen Marshall 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
     Diane Paulus 『PORGY AND BESS』
     John Tiffany 『ONCE』
  • 振付賞
     Rob Ashford 『EVITA』
     Christopher Gattelli 『NEWSIES』
     Steven Hoggett 『ONCE』
     Kathleen Marshall 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
  • 楽曲賞
     Frank Wildhorn(Music), Don Black(Lyrics) 『BONNIE & CLYDE』
     Alan Menken(Music), Jack Feldman(Lyrics) 『NEWSIES』
     Grant Olding(Music & Lyrics) 『ONE MAN, TWO GUVNORS』※(6/3/2012追記)
     Wayne Barker(Music), Rick Elice(Lyrics) 『PETER AND THE STARCATCHER』※(6/3/2012追記)
  • 脚本賞
     Douglas Carter Beane 『LYSISTRATA JONES』
     Harvey Fierstein 『NEWSIES』
     Joe DiPietro 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
     Enda Walsh 『ONCE』
  • 編曲賞
     William David Brohn and Christopher Jahnke 『PORGY AND BESS』
     Bill Elliott 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
     Martin Lowe 『ONCE』
     Danny Troob, Newsies 『NEWSIES』
  • 装置デザイン賞
     Bob Crowley 『ONCE』
     Rob Howell and Jon Driscoll 『GHOST:The Musical』
     Tobin Ost and Sven Ortel 『NEWSIES』
     George Tsypin 『SPIDER-MAN TURN OFF THE DARK』
  • 衣装デザイン賞
     Gregg Barnes 『FOLLIES』
     ESosa 『PORGY AND BESS』
     Eiko Ishioka 『SPIDER-MAN TURN OFF THE DARK』
     Martin Pakledinaz 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
  • 照明デザイン賞
     Christopher Akerlind 『PORGY AND BESS』
     Natasha Katz 『FOLLIES』
     Natasha Katz 『ONCE』
     Hugh Vanstone 『GHOST:The Musical』
  • 音響デザイン賞
     Acme Sound Partners 『PORGY AND BESS』
     Clive Goodwin 『ONCE』
     Kai Harada 『FOLLIES』
     Brian Ronan 『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』

 毎年トニー賞のノミネーションを見ると首を傾げたくなることが少なからずあるが、今年は特大の驚き。作品賞の候補になった『奇跡を呼ぶ男 LEAP OF FAITH』が、他の部門では全く候補に挙がっていないのだ。うーむ、いったいどう考えればいいのだろう。
 もう 1つ、楽曲賞候補 4作の内 2作がプレイなことも不思議。よほど新作ミュージカルの楽曲がお気に召さなかったのだろう。
 まあ、考えてわかることではないので先に進むが、ことほどさように、賞レースというのは不可思議なものだ。

 作品賞は、『奇跡を呼ぶ男』を未だ観ていない(前回帰国直後にプレヴュー開始)現時点では、『ワンス ONCE』で決まりだと思う(『奇跡を呼ぶ男』は今月末に飛んで観る予定)。
 ※(5/10/2012追記)テレチャージより、『奇跡を呼ぶ男』 5/13で終了の告知メールが届きました。よって、未見のままとなります。
 ノミネーション数の多い『ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット NICE WORK IF YOU CAN GET IT』のノスタルジー路線が年配の投票を集める可能性がないではないが、そこまでの出来ではない。『ニュージーズ』は、元気があってよろしい、という程度。

 今年は候補が 4作揃ったリヴァイヴァル作品賞。個人的には、候補を外れた『晴れた日に永遠が見える ON A CLEAR DAY YOU CAN SEE FOREVER』も面白かったのだが、それはさておいて、『フォリーズ FOLLIES』『ポーギーとベス PORGY AND BESS』の勝負だろう。この 2作品、どちらも期間限定公演だが、期間限定でやらざるを得ないと思わせる豪華キャスティングで、まず、それが魅力。同時に、演出も優れていて観応え充分。原典を大胆に編集した冒険心で、とりあえず『ポーギーとベス』に軍配を上げておくが。
 残りの 2作は、候補にならなかった他の 2作と入れ替えても問題ない程度。

 主演女優賞は、そのリヴァイヴァル作品賞有力候補 2作品のジェイン・マックスウェル(『フォリーズ』)とオードラ・マクドナルド(『ポーギーとベス』)、それに『ワンス』のクリスティン・ミリオティが有力。実のところ、クリスティン・ミリオティは観た回が代役(アンドレア・ゴス Andrea Goss)だったので未見なのだが(これも今月末に改めて観る予定)、役の重要さ、代役の質の高さ、作品の充実度から言って、獲るのは、この人ではないかと思う。もちろん前者 2人も素晴らしかったが、今回は後進に譲っていただくということで(笑)。それとも、マクドナルドに 5度目の受賞をさせるか。
 残る 2人は作品に恵まれなかったと言うべき。
 ※(6/3/2012追記)クリスティン・ミリオティ、観ました。素晴らしい。

 主演男優賞も、『ワンス』のスティーヴ・カズィーが獲るだろう。歌と淡々とした演技だけで舞台を引っ張っていく、その魅力に感服。
 対抗を挙げるとすれば、生面力溢れるポーギーを演じたノーム・ルウィス。『フォリーズ』の 2人も申し分ない出来だが、今回は相手が悪い。『ニュージーズ』のジェレミー・ジョーダンは同シーズンの 2作品(『ボニーとクライド』)で主演するという(正に)離れ業をやってのけた。いずれ、どこかで受賞したりするのだろう。

 助演女優賞は、『フォリーズ』で「Broadway Baby」を歌って場をさらうジェイン・ハウディシェルや『ゴースト GHOST:The Musical』の儲け役インチキ占い師を演じたダヴァイン・ジョイ・ランドルフあたりに行く可能性が高いか。あるいは、作品の勢いもあって『ワンス』のエリザベス・A・デイヴィスか。
 個人的には『晴れた日に永遠が見える ON A CLEAR DAY YOU CAN SEE FOREVER』で初演版にはなかったジャズ歌手を魅力的に演じて、同作からただ 1人候補になったジェシー・ミューラーを推したい。ちなみに、もう 1人の候補者ジュディ・ケイもイマイチな作品(『ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット』)の中で熱演でした。

 助演男優賞も 1人観てない。『ジーザス・クライスト・スーパースター JESUS CHRIST SUPERSTAR』のジョシュ・ヤングが代役だった(ジェレミー・カシュナー Jeremy Kushnier)。が、まあいい。今回、この作品は賞を獲らないと決めているので観直さないだろう。最有力は『ポーギーとベス』でただの悪役でないスポーティング・ライフを演じたデイヴィッド・アラン・グリアーか。
 僕は、『ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット』の狂言回し的役で舞台を回したマイケル・マッグラスに 1票。やたら、こういう役柄を任されるんだ、この人。『メンフィス MEMPHIS』とか、ね。

 演出賞は、リヴァイヴァル作品賞『ポーギーとベス』と作品賞『ワンス』の一騎打ち。
 『ワンス』が獲ると思うんで、僕の 1票は『ポーギーとベス』に振っておきます。

 振付賞で注目は、『ワンス』の“movement”と称するスティーヴン・ホゲットの不思議な“振付”が広く認められるか。僕は 1票。これは素晴らしい。
 従来の考え方で行けば、クリストファ・ギャテリィ(『ニュージーズ』)とキャスリーン・マーシャル(『ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット』)の対決ということになるが。この二択なら作品の勢いで前者か。

 さて、楽曲賞だが、不思議な候補が並んだ。
 で、今のところ僕は、ミュージカル 2作はあまり評価しておらず、プレイ 2作は観ていない。なので、せめてプレイの内 1作を観てから、改めて選ばせていただきたい(6月 2日のチケットを獲りました)。
 ※(6/3/2012追記)プレイ 2作とも観ました。楽曲も含めて、どちらもいい出来。観てよかった。どちらが獲ってもおかしくないので、上記の予想にしました。候補の中では、という限定付きで言えば、明らかにミュージカルより上。

 脚本賞『ワンス』だろう。
 ここで唯一候補になった『リシストラタ・ジョーンズ』も面白かったが、ここで“しか”候補にならない作品が獲るとは思えない。残り 2作は、それぞれ少しずつ足りない。

 編曲賞は、『ワンス』『ポーギーとベス』の一騎打ち、その 2。

 装置デザイン賞『ワンス』に行く気がする。
 でないとすれば、トリッキーな 2作、『ゴースト』『スパイダーマン』のどちらかだろう。

 衣装デザイン賞あたりを『フォリーズ』が獲ってもおかしくない。が、あるいは、これも『ポーギーとベス』に行くのか。
 実のところ、『ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット』が(※(6/12/2012追記)役者以外で)トニーを獲るという場面が想像出来ない。

 照明デザイン賞が、『ワンス』の“獲りそうにない度”が一番高いか。それでも獲りそうなので審査員票予想を入れておくが(笑)。
 『ポーギーとベス』『フォリーズ』は素晴らしかった。『ゴースト』も別の意味では……。

 音響デザイン賞も、『ワンス』『ポーギーとベス』の一騎打ち(その 3)、にさせてください。

 以上、今シーズンの“第 1次”受賞予想でした。

 楽曲賞のところで書いたように、『ピーターと星の守護団 PETER AND THE STARCATCHER』をトニー賞発表の8日前に観ます。あと、代役だったため未見の主演女優賞候補者も。
 なので、日本時間で言えば授賞式の前の週には、このページに“第 2次”受賞予想を追記します。それまでには、前回(3月〜4月)のニューヨーク観劇リストもアップしていることでしょう。
 両方を併せてご覧になると倍楽しめます。ご期待ください(笑)。

 トニー賞の発表は現地時間の 6月 10日(日)夜の予定です。

 ※(6/3/2012追記)“第 2次”受賞予想、追記しました。

(5/8/2012)
(last revised 7/3/2012)


 トニー賞の結果はこちら


Copyright ©2012 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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