NHK「2003トニー賞授賞式」についての公開質問状

 「2003トニー賞授賞式」において、ミュージカル脚本賞とミュージカル作曲・作詞賞の受賞者のスピーチが削られた理由は何ですか?

 一昨日(6/30/2003)、公式サイトにある質問ページを通じて NHKに送った質問だ。

 みなさんは、今年のトニー賞授賞式の日本でのオンエア、ご覧になっただろうか。観逃していた僕は、「ゲキもは」仲間でもあるNANAさんのサイトを読んで、驚いた。 NHKのオンエアでは一部の受賞者のスピーチがカットされていたというのだ。
 その後、オンエアの録画を観る機会があって確認したのだが、確かに、ミュージカル脚本賞とミュージカル楽曲(作曲・作詞)賞の受賞者のスピーチ部分が削られていた。念のため、アメリカでの CBSのオンエアについてニューヨークの知人に問い合わせたところ、どちらのスピーチもちゃんと流れたという(ま、生中継だから当然ですが)。

 さて、なぜ NHKはこれらのスピーチ部分をカットしたのか。
 まず言っておきたいのは、このカットは時間調整のためではないのは明らかだ、ということ。なぜなら、NHK放映分には、 CBS製作の本編以外に大量の日本製作部分が加えられているからだ。その大半は(松本幸四郎を除けば)、トニー賞はもちろんブロードウェイともほとんど関係のない人たちのコメントであり、しかも、冒頭部分に付け加えられているのは、最新のものは削ったのに、なぜか過去(第 50回)のトニー賞授賞式におけるミュージカル脚本賞とミュージカル楽曲賞の受賞者スピーチを(これまたなぜか鈴木杏が)読み上げるという、わけのわからない導入部。こうした日本製作部分のごく一部を削るだけで、今年のミュージカル脚本賞とミュージカル楽曲賞の受賞者スピーチをオンエアすることは充分可能になったはずだ。
 では、なぜカットしたのか。
 以下は推測だが、これ以外の納得のいく説明が NHKからなされない限り、こう考えるしかないと思われる。

 NHKが問題視したのは、ミュージカル楽曲賞受賞者であるマーク・シャイマン Marc Shaiman とスコット・ウィットマン Scott Wittman のスピーチ部分。おそらく、壇上で 2人が互いの愛情を披瀝し、抱き合ってキスをしたことにあると思われる。
 そんなことで、という声が聞こえてきそうだ。僕もそう思う。だが、それ以外には考えにくい。
 脚本賞受賞スピーチには、問題になるような要素がまるで見当たらない(スピーチの内容はトニー賞の公式サイトで読むことが出来る)。にもかかわらず脚本賞受賞者のスピーチも削られたのは、 CBSのオンエアにおいてミュージカル楽曲賞の授賞はミュージカル脚本賞に次ぐ 2番目であり、楽曲賞のスピーチだけを削ると不自然に思われるからではないか。

 ここから先は、上の僕の“邪推”が当たっていたら、という仮定での話。
 以下の理由で NHKを非難したい。
 1). 「夢を信じ、作り続ける人々に敬意を表わすこの 1日」(番組導入部のナレーションから)と言いながら、その人々のスピーチを削るという態度が信じられない。番組の主役は受賞者のはず。
 2). 中でも、楽曲作者というのは実はミュージカルにとって最も重要なスタッフなのだ。今回の処遇は、言ってみれば、『キャッツ CATS』の年にアンドリュー・ロイド・ウェバー Andrew Lloyd Webber のスピーチを削るようなもの。そういう基本的なことがわかっていない。
 3). そして、これが最も重要なのだが、ホントに僕が“邪推”したような理由でカットを行なったのなら、あらゆる偏見を憎む『ヘアスプレイ HAIRSPRAY』が作品賞に選ばれるトニー賞の授賞式をオンエアする資格は、そもそも NHKにはなかった、と言わざるを得ない。

 さて、どうなるか。
 回答が来しだい報告しますが、 1週間経っても何も動きがないようなら、今回の質問が上記のような意図を持った公開質問であることを明記して、改めて質問するつもりです。

(7/2/2003)

Copyright ©2003 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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