チャリティ・イヴェントについての公開質問状 4

 主催者からの前回の回答通り、 19日の産経新聞に、『Thank you! Broadway!〜We Love N.Y.〜』の寄付金に関する記事が載りました(僕の買ったものでは 29面 13版)。
 内容は以下の通りです。

ブロードウェー支援 収益金327万円寄付 本紙など

 [ニューヨーク支局=17日] 昨年九月の米中枢同時テロで観客減に悩むニューヨークのブロードウェーを支援しようと行われたチャリティーコンサート「Thank you! Broadway!」(産経新聞者など主催)の収益金約三百二十七万円の寄付目録が十七日、ロジャース&ハマースタイン基金のテッド・チェピン会長へ産経新聞の前田徹ワシントン支局長から手渡された。
 同基金はブロードウェー・ミュージカルの伝説的作曲家のロジャース氏とハマースタイン氏が約五十年前、若手ダンサーらの養成のために設立した非営利団体。目録を受け取ったチェピン氏は「テロ直後より観客数が増えたが、まだまだ正常ではない。辛いときだけに日本の人たちの気持ちが本当にうれしい。寄付金は、生活の不安定な歌手やダンサーらの手助けに使いたい」と話した。
 このコンサートは、主催者の呼びかけに日本のトップクラスのミュージカルスター十七人が応じて三月二十五、二十六日に青山劇場で催され、会場は超満員となった。

 とりあえず、無事に、チャリティ・イヴェントの寄付金の額と行く先は発表されました。誠実に対応してくださった担当者の方には感謝いたします。

 一応これで決着、ということにしたいところなのですが、もう少し追いかける必要がありそうですので、今しばらくお付き合いを。
 追いかけるべき点は、次の 2つ。

 1). NHKでオンエアされる映像の放映料の行方
 2). その映像のその後の扱い

 実は、先日のニューヨーク訪問で、今回のチャリティに関する新たな情報を入手。イヴェントの寄付金については、金額を除けば、今回記事になったような形でニューヨークで受け渡しのセレモニーがあるということもわかっていました。しかし、今回の寄付金はイヴェントの開催による収益からのものであり、オンエアにまつわる金銭とは別らしいこと、及び、その後イヴェントの映像をソフト化したいという動きがあること等も同時に判明したのです。
 情報源は在ニューヨークの演劇関係者の方。詳しく言うと、イヴェントの寄付金を“ブロードウェイ”に渡すにあたり、窓口となる The Rogers and Hammerstein Organization への橋渡しをした人物です。

 そもそも、今回のチャリティは、中心となるべき寄付金の扱いがハナから曖昧でした。
 ごぞんじの方も多いと思いますが、当初、今回のチャリティを告知する公式サイト上では、 [今回の公演で集まった収益の一部は、ブロードウェイの俳優達に寄付されます。] と発表されていて、その後、 [この公演の収益は、ロジャース&ハマースタインオーガナイゼーションを通じてブロードウェイ俳優のために寄付されます。] と変更されました。つまり、イヴェント開催の発表の時点では、誰にどのようにして寄付金を渡すか、が確定していなかったのです。
 その背景には、“イヴェントの発案者”(≠主催者)の曖昧な“ブロードウェイ”認識があったようです。“イヴェントの発案者”は、どうすれば“ブロードウェイの俳優達”に寄付金を渡せるかがわかっていなかったらしい。で、今回橋渡しをすることになった在ニューヨークの演劇関係者の方に、俳優組合を通じて渡すということが出来ないか、と問い合わせてきた。しかし、組合は、組合員の権利を守るために存在するわけで、そんな労働の対価でもない金をどうこうしようがないことは明らか。そこで、相談された方が、ミュージカル関係の非営利団体の基金に寄付することを提案した、ということのようです。
 ですから、寄付金は、“ブロードウェイ俳優のために”という曖昧な言い回しの下に、結果的には、“ブロードウェイの俳優達”ではない若手のための育成基金として使われることになったのです。記事中のチェピン氏の発言が「寄付金は、生活の不安定な歌手やダンサーらの手助けに使いたい」というボヤケた表現になっているのは、そのためでしょう。
 まあ、それでも長い目で見れば“ブロードウェイ”のためにはなるわけだし、善意のチャリティであることには変わりがないのだから、それはそれでいいのではないか、ということなのかもしれません。
 しかし、細かいことを言うと思われるかもしれませんが、僕はそこに疑問を感じます。
 今回のチャリティ・イヴェントの目的は当初から一貫して、「9月 11日の事件以降、 [観光客の減少により] [劇場が閉鎖されたり、スタッフやキャストの賃金大幅カットなどで窮地に立たされてい] て、 [経営回復への道のりはまだまだ遠く、苦しい] “ブロードウェイ”を助けるために、 [公演で集まった収益の一部] を [ブロードウェイの俳優達に] あるいは [ブロードウェイ俳優のために] [寄付] する」、とアナウンスされ、以降変更はされなかったはずです。実際には、早い段階で、寄付金の行く先が“ブロードウェイの俳優達”ではなくなることがわかっていたにもかかわらず、です。
 それはマズいでしょう。なんと言っても、チャリティへの参加は、目的に賛同することが大前提なのですから。目的に変更が生じたのであれば、チケットを買ってくれる人はもとより出演者やスタッフに対してもアナウンスし直すべき、というのは常識の範囲内の判断ではないでしょうか。だって、別に“悪い”目的に変わったわけじゃないんだから。
 にもかかわらず、それをやらなかったのは、 1つには、チャリティという行為を行うことの社会的責任を甘く考えていたから、ということが考えられます。わかりやすく言うと、善意でやってるんだから細かいことは気にしないでよ、という甘えです。もう 1つは、寄付金の渡る先が“ブロードウェイの俳優達”ではなくなることをアナウンスしてしまうとチャリティの意義そのものが危うくなることに気づいた、ということではないでしょうか。なんかカッコ悪いもんね、 [ブロードウェイにエールを!] と言いながら、実は寄付金の渡る先が“ブロードウェイ”ではない、ということになると。

 ともあれ、イヴェントの結果生まれた寄付金を“ブロードウェイ関係者”に手渡すところまでは来た、と。寄付金の額と送り先は、前述のように、主催者がきっちり発表してくださいました。
 あとは、映像化にまつわる諸々です。もう少し追いかけます。

(5/20/2002)

※報告の続きは、こちらで。

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