ミュージカル・サイトの心得

 ミュージカルを愛するみなさん、毎日インターネットを通じて、ミュージカルの情報を得たり、他人の発言を読んだり、はたまた自ら発言したりして、楽しくお過ごしでしょうか。
 実は、僕は鬱々として楽しめない日々を送っています。――と言うのはちょっと大袈裟ですが(笑)、でもまあ、奥歯に挟まった何かがとれないぐらいのイヤな感じがある。その原因は、「ミュージカルへの招待」というサイトにあります。

 僕はこれまで、ミュージカル作品のみならず、ミュージカルに関する新聞・雑誌の記事や書籍に関しても、ときどき批判的な発言をしてきました。
 その理由は、日本ではミュージカルに関する情報そのものが少なく、誤った情報でも印刷物になることで、誤ったまま流布する可能性があるからです。しかも、原稿料なり印税なりを受け取るのであれば、執筆者・発言者自身は批判をも受けて当然です。

 しかしながら、ミュージカル・サイトの多くはアマチュアの運営するものであり、いろいろと志はおありでしょうが、突き詰めれば自分の楽しみのためにやっているわけです。そこでの発言には、責任があるような、ないような……。
 ホントのところ、多くの方があまり責任を感じてないのではないでしょうか。その証拠に、実名を明かしている人が少ない。中には、自分の運営するサイト上の情報について責任は負いかねる、と明記している人もいます。
 それも無理ないかな、と僕も思います。僕自身、このサイトを開設する時にはかなり緊張しました(実は今でもしてますが)。なにしろ、ミュージカルについての自分の意見が(日本語の読める)全世界の人の目にさらされるわけですから。
 それに耐えられる自信がないならサイトなど開くな、とまでは誰も言えないでしょう。
 そんなわけで、他のサイトで誤りや不的確な記述を見つけても、公にはせず、メールをさしあげて指摘するだけにしていました(掲示板上の誤りは、やむなく掲示板上で指摘することもありましたが)。黙ってるわけにはいかないのかって? だからァ、それはァ、そのままにしておくと誤ったまま流布する可能性があるのは、インターネットの世界も同じでしょ。

 ところが、「ミュージカルへの招待」というサイトは、どうやら一筋縄ではいかないらしい。
 僕が最初に気づいた間違いは写真でした。
 このサイトにはパンフレットや CDなどから複写したとおぼしい舞台写真がクレジットなしでガンガン使われていて、それはそれで別の問題があるのでありますが、とにかく問題は、舞台ミュージカルについてのコーナーにあった。
 いくつかの作品タイトルが挙げられている中で、唯一実際に文章がアップされているブロードウェイ版『蜘蛛女のキス KISS OF THE SPIDER WOMAN』のページを見たところ、最初に出てくる劇場の外観写真が明らかにロンドンのシャフツベリー劇場のものだったのです。しかも、その写真について、派手な外観だという意味のコメントが書いてある。
 おせっかりな僕は、早速メールで、写真が違っていることを運営者に知らせました。しかし、なしのつぶて。訂正されないまま今日に到っています。だから、なぜそんな間違いが起こったのか、未だに謎のまま。

 それ以来、気になってたびたび同サイトをのぞいていると、他のところからも明らかな誤りがザクザク出てきます。
 特に、ミュージカルの歴史についての記述など、関西風に言うと「お前、見たんか!?」という勢いの、これはもう捏造(ねつぞう)。参考文献が明記されていないのでわかりませんが、いったい何を根拠に、こんなに自信たっぷりに断定口調で歴史を書き換えているのでしょうか。
 最近は宝塚と四季についての文章を書いていて、その内容がまたすごい。僕が [HELLO!] の 2月 2日分(今年)で触れた“四季のブーイング”問題は、その中にありました(これについては、四季の公演をよくご覧になるという方たちからメールをいただいてますが、今のところブーイングの目撃証言はありません)。宝塚、四季に関心のある方は一見の価値あり。えーっ!? てことがいっぱい書いてあります。
 ちなみに、例の“お礼にプレイビル事件”(別名“掲示板ポケモンカード”事件。 [HELLO!] の昨年 12月 29日分参照)もこのサイトで起きたことです(その後、品物が入手出来たらしく、問題の投稿は過去ログから削除されました)。

 さて、こうしたサイトの“蛮行”を知って、我々がなすべきことは何でしょう。
 僕は、これを他山の石として、最低限心がけるべきことを確認し合うことが大切なのではないかと思います。比較的簡単なことです。

 1). 自分の見聞したことと、そうでないことをはっきりさせる。
 2). 自分の見聞したことでないことは、情報の出所を明記する(誰の発言か、参考文献は何か)。
 3). 確信のないことは裏をとるように努め、それでもわからないことは書かないか、もし書く時は、確信がないことを明記する。

 当たり前と言えば当たり前のことばかりですが、匿名性の高いインターネットの世界では、ぜひ実践したい。
 最初にも書きましたが、ことにミュージカルについては、日本では文献なども充実しているとは言いがたい。中途半端な見識しかない人が書いた文献なんて必要ないような、信頼出来るミュージカル情報ネットワークを、僕らで作り上げようじゃありませんか。

(2/12/2000)

Copyright ©2000 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

previous/next


[HOME]